森 泰(旧制12回)
’99年5月喜寿の祝のクラス会を琵琶湖北岸で開いた時に、今度は十三の天津閣で11月第3水曜日に開くと決め、昨年は第二回目として11月22日に開催しました。関東勢、九州組は参加無く、近畿在住の8名のみのクラス会となり、御互いの健康を願って乾杯、最近の動静、欠席者の情報、物故者の思い出、戦時中の学生時代苦労した事等々、語り合い、料理の豪勢さと相俟って時の経つのを忘れる様でした。
同期の芝君が日蘭友好に尽くされた業績に対し、オランダ王国よりオラニエ・ナッソウ勲章を授与されたのをお祝いし、彼が委員をしている武田科学財団所属の「杏雨書屋」(五代、六代武田長兵衛収集の東洋医薬書一大文庫)の展示「宇田川榕庵」の「舎密開宗」の全二十一巻の刊行本、校正原稿、草稿、が並べられており、榕庵の類稀な好奇心は止まる所を知らず、科学全般、歴史、機器、温泉、物産、語学、音楽、文芸、蒐集に及び、中でも榕庵が「分子」や「元素」の概念を把握し、近代化学の考え方を一人の力で体系的に移入しようとした業績は驚異と言う外無く、実験も行い、化合物の命名は彼の行ったのを現在も使っていると聞き、驚嘆させられた次第です。前回より今回のクラス会は化学専攻に相応しい有意義な会合でした。